特    集

 第5回 横浜松坂屋閉店

  去る平成20年10月26日、長らく横浜伊勢佐木町のシンボル的存在であった横浜松坂屋が、その歴史に幕を下ろしました。今回は、この横浜松坂屋について取り上げたいと思います。

横浜松坂屋   横浜松坂屋は、1864(元治元)年、横浜弁天通2丁目で「野澤屋呉服店」として創業しました。以来、140年以上にわたり、横浜の街とともに歴史を刻んできました。創業時から松坂屋との関係は深く、戦後、野澤屋と松坂屋で共同配送などを行うようになり、昭和49年に松坂屋が野澤屋の筆頭株主になったときに店名を「ノザワ松坂屋」としました。その後、昭和52年に松屋横浜店の建物を買収して西館とし、社名及び店名を「横浜松坂屋」としました。
  その横浜松坂屋も時代の移り変わりには勝てず、建物の老朽化と売り上げの減少を理由に、平成20年10月26日に閉店しました。伊勢佐木町の商店街の売り上げの大部分を横浜松坂屋が占めていたようであり、閉店後の伊勢佐木町の経済への影響が心配されます。かつて横浜の商業の中心として発展した伊勢佐木町の活気が失われないことを祈るばかりです。
   エレベーター
  現在のアール・デコ調の建物(本館)は、大正10年に建築されました。その美しい装飾からは、当時の伊勢佐木町の繁栄の様子を窺い知ることができます。この建物は、数回の改築を経ており、改築のときには、近代建築の重鎮で、夏目漱石の義弟でもある鈴木貞二氏が設計に参画したそうです。内装も興味深く、時計のように針が回るエレベーターの階数表示は特徴的です。このように歴史的にも美術的にも価値があると思われる横浜松坂屋本館及び西館は、横浜に存在する唯一の戦前のデパート建築として、平成16年11月に「横浜市歴史的建造物」に認定されました。松坂屋の持ち株会社であるJ.フロントリテイリングは、この場所に住宅と商業施設からなる複合施設を建設する方針のようです。横浜市は、本館の外観保存を求め、同社も前向きに検討しているそうですが、具体的なことは決まっていないようです。浜っ子にとって、伊勢佐木町といえば、横浜松坂屋の建物が思い浮かぶのではないでしょうか。また、フォークソングデュオ「ゆず」が路上ライブを行っていた場所として、横浜松坂屋の名や、その建物を知っている人も少なくないでしょう。横浜の歴史を物語る建物が末永く残されることを願います。


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